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『健保病床』

台湾も日本のように国民の生活水準が上昇すると共に個人のプライバシーと便利さが重視されるようになり、いろいろと生活を取り巻く環境が変わってきました。
その一つの例が病院の設備です。20年ほど前のこと、学校の課外授業で病院を訪問したことがあります。その当時は6人、良くても4人部屋が殆どでした。個室なんてもちろんのこと、2人、3人部屋という特別病室も少なく、平均的な収入の人でしたら、とても利用することは出来ませんでした。
その頃から国民健康保険(台湾では全民健康保険、健保(ゼン・バウ)と言います。)の前身である「労工健康保険システム(台湾は労保(ラウ.バウ)という)」が始まりました。

現在の健保が全国民の加入が義務となっていますが、労保は「従業員」つまり働いている人が加入する保険で、仕事をしていない国民は従来通りに全額自費負担で治療を受けていました。
入院しても同様です。しかし労保の加入者ならば、医療費も保険機関がその費用のほぼ全額を負担してくれます。入院しても特別病室でなく、一般病室ならばその費用も全額負担してくれます。特別病室に入院したならば、一般病室との差額が自費負担となります。
その頃から病院の競争が激しくなり、6人部屋がだんだんと少なくなり、4人部屋が主流となってきました。
健保が出来てからは病院間の競争が更に激しくなり、もともと特別病室であった3人部屋が一般病室となりはじめました。今では3人部屋が一般病室であるのは当たり前のこととなりました。このようにような国民健康保険が全額負担してくれる病室を「健保病床」といいます。

さて更なる生活水準の上昇と共に生命保険が普及し、入院すると保険会社が特別病室の差額を負担してくれるようになりました。裏を返せば特別病室を使わなければ保険会社は勿論差額はくれませんから生命保険に加入している人は誰もが特別病室を使いますし、病院側も収入を増やす為に一般病室を縮小、特別病室の拡大を続けています。
ところが誰もが生命保険に加入しているわけではないので、政府は各病院に総ベット数の最低30%を健保病床として確保することを義務付けています。更に、入院が必要な患者さんが3週間以上健保病床待ちをすることになると病院は政府の審査時に減点となり、翌年度の支給予算額にかなり悪影響を及ぼします。

不景気になってから、生命保険の加入者は激減し、健保病床のニーズは増えました。病院側は査定を重視し、本来は特別病室の2人部屋も健保病床として対応していることもあるそうです。これは患者さんにとって不幸中の幸いとも言えますね。

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